朝のジャズとの偶然の出会い
早朝のガスト。iPadを操作しながら、ふと耳に入るBGM。心地よいジャズの音色が流れる中、聴き慣れたアルトサックスの音が、Paul Desmondを思わせる。この瞬間、音楽への好奇心が掻き立てられる。
このような経験は、音楽愛好家にとって珍しくないだろう。ふとした瞬間に耳に入る音楽に魅了され、その曲名を知りたくなる。そんな時、現代の技術は私たちの強力な味方となってくれる。
音楽認識アプリの便利さ
SHAZAMの基本機能
音楽を聞かせるだけで曲名がわかるアプリ、SHAZAM。使い方は簡単で、アプリを起動し、画面中央の丸いマークをタップしてiPhoneのマイクを音源に向けるだけだ。約5秒間のサンプリング後、ネットワークを通じて曲情報を検索し、曲名とアルバム情報が表示される。
今回SHAZAMで検索した曲は、予想通りPaul Desmondが参加しているアルバムからの1曲だった。Dave Brubeckがリーダーを務める「Dave Digs Disney」というアルバムに収録されている「Alice In Wonderland(不思議の国のアリス)」だった。
多様化する音楽の入手方法
iTunesとAmazonの比較
かつては、CDを実店舗で購入するか、iTunesなどのデジタルストアでダウンロード購入するのが主流だった。iTunesでは1曲あたり200円程度、アルバム全体で1500円ほどが一般的だ。一方、Amazonではしばしば安価にCDを購入できる。例えば、「Dave Digs Disney」のCDが991円で販売されていた。
しかし、現代の音楽の楽しみ方は、これらの従来型の購入方法に留まらない。音楽ストリーミングサービスの台頭により、音楽との付き合い方が大きく変化している。
音楽ストリーミングサービスの台頭
近年、Spotify、Apple Music、Amazon Music Unlimited、YouTube Musicなど、様々な音楽ストリーミングサービスが人気を集めている。これらのサービスの特徴を簡単に紹介しよう。
1. Spotify
– 世界最大のユーザー数を誇る
– 優れたプレイリスト推薦機能
– 無料プランあり(広告付き)
2. Apple Prime Music
– iOSデバイスとの高い親和性
– 独自のラジオ局やプレイリスト
– 3ヶ月の無料トライアル
3. Amazon Music Unlimited
– Amazonプライム会員割引あり
– Alexaとの連携が優秀
– 高音質オプションあり
4. YouTube Music
– 膨大な楽曲ライブラリ
– ミュージックビデオも楽しめる
– 自分の音楽ファイルをクラウドにアップロード可能
これらのサービスは、月額定額制で膨大な楽曲ライブラリにアクセスできる。新しい音楽の発見や、様々なプレイリストの利用など、音楽との新しい付き合い方を提供している。
YouTube Musicの魅力
私個人としては、月額課金のYouTube Musicを愛用している。その理由はいくつかある。
豊富な楽曲ライブラリ
YouTubeの膨大な動画ライブラリと連携しているため、公式にリリースされた楽曲だけでなく、レアなライブ映像やカバー曲なども楽しむことができる。
ミュージックビデオの視聴
音楽を聴くだけでなく、ミュージックビデオを見ることもできる。アーティストの表現をより深く理解する上で、これは大きな魅力だ。
独自の音楽アップロード機能
YouTube Musicの特筆すべき機能の一つが、自分の音楽ファイルをクラウドにアップロードできる点だ。私は自分が所有するCDの音源を全てYouTube Musicのクラウドにアップロードしている。
これにより、ストリーミングで提供されていないレアな音源や、自分だけの特別なミックスなども、いつでもどこでも聴くことができる。また、CDを物理的に保管するスペースの問題も解決できる。
AIによる推薦機能
YouTube Musicは、ユーザーの聴取履歴を基に、新しい音楽を推薦してくれる。これにより、自分の好みに合った新しいアーティストや楽曲を発見する機会が増える。
オフライン再生
楽曲をダウンロードしておけば、インターネット接続のない環境でも音楽を楽しむことができる。通勤時や旅行中など、様々なシーンで活用できる。
YouTubeも広告なしで見られる
そして一番の目玉を最後に持ってきたがYouTube動画をCM無しで見られるのが最大の魅力だ。
どちらかというとYouTubeを見るのが主体で、YouTube musicで好きなアーティストの音楽を聴くのがときどきという人のほうが多いのではないか。
なにしろ今やYouTubeもひとつのインフラのような存在なのだから。
変化する音楽との付き合い方
音楽発見の新しい形
かつては、ラジオやTVの音楽番組、友人の推薦などが新しい音楽との出会いの主な機会だった。しかし現在は、ストリーミングサービスのアルゴリズムによる推薦や、SHAZAMのような音楽認識アプリを通じて、より能動的に新しい音楽を発見できるようになった。
ガストで聴いたBGMから「Dave Digs Disney」を見つけたように、日常のあらゆる場面が音楽発見のきっかけになり得る。そして、その場で即座に曲を特定し、ストリーミングサービスで聴くことができる。これは、音楽ファンにとって革命的な変化と言えるだろう。
音楽コレクションの形の変化
CDやレコードを物理的に所有することに喜びを感じる音楽ファンも多いだろう。しかし、ストリーミングサービスの普及により、「所有」から「アクセス」へと音楽との関わり方がシフトしている。
私のように、所有するCDの音源をクラウドにアップロードする方法は、物理的な所有感と、どこでも聴けるという利便性を両立させた中間的な選択肢とも言える。
アーティストとの新しい関係性
ストリーミングサービスの普及は、アーティストとリスナーの関係性にも変化をもたらしている。例えば、Spotifyでは、アーティストの最新情報や、ファン限定コンテンツを直接受け取ることができるらしい。使ったこと無いからよくしらんけど。
また、YouTube Musicでは、アーティストのミュージックビデオやライブ映像なども一緒に楽しめるため、音楽だけでなく、アーティストの視覚的な表現も含めて楽しむことができる。
ファンとしての音楽との向き合い方
アルバム単位での鑑賞の重要性
ストリーミング時代になっても、アルバム単位で音楽を楽しむことの価値は変わらない。特に好きなアーティストの場合、アルバム全体を通して聴くことで、以下のような体験ができる:
1. アーティストの音楽性をより深く理解できる
2. 隠れた名曲を発見できる可能性がある
3. アルバム全体を通じてのストーリー性を感じられる
Dave BrubeckとPaul Desmondの「Dave Digs Disney」のように、1曲だけでなくアルバム全体を通して聴くことで、彼らの音楽性や、ディズニー楽曲へのアプローチの全体像が見えてくる。
というのは建前で実際には耳障りの良いメロディだけ追いかけて次から次へと再生を飛ばして聞いているのが実情だ。お金払って聞いているんだからそんな義務感みたいなのにとらわれず自分の聴きたいように聴きたいよね。
アーティストの軌跡を追う
ストリーミングサービスの登場により、アーティストの全作品を簡単に聴くことができるようになった。これは、アーティストの音楽的成長や変化を追うのに最適な環境だと言える。
初期の荒削りな作品から、円熟味を帯びた後期の作品まで、時系列に沿って聴くことで、アーティストの全体像が見えてくる。これこそが、真のファンとしての醍醐味だろう。
これはJAZZ評論家でもありJAZZ喫茶店経営もしている寺島靖国氏の受け売りだ。表現は微妙に違うかもしれないが「気に入ったアーティストは全部聴け。そして彼(彼女)の全盛期を見つけるのがファンの使命だ」と。
まとめ – 音楽との新しい出会い方と楽しみ方
技術の進歩により、私たちと音楽との関わり方は大きく変化した。SHAZAMのような音楽認識アプリ、そしてSpotifyやYouTube Musicなどの音楽ストリーミングサービスの登場により、音楽との出会い方、楽しみ方が多様化している。
一方で、アルバム単位で聴く、アーティストの軌跡を追うなど、音楽を深く楽しむ姿勢は変わらない。新しい技術やサービスを活用しつつ、自分なりの音楽との向き合い方を見つけていくこと。それが、現代の音楽ファンに求められる姿勢なのではないだろうか。(大袈裟)
私自身、YouTube Musicを中心に音楽を楽しむようになってからCDをまったく買わなくなった。
それはそれでいいと思う。大切なのは、自分に合った方法で、音楽を心から楽しむこと。そして、ガストでのジャズとの偶然の出会いのように、日常の中で音楽が彩りを添えてくれる瞬間を大切にすることだ。
音楽の楽しみ方は人それぞれ。テクノロジーの進化により、その選択肢はますます広がっている。あなたなりの音楽との付き合い方を見つけ、豊かな音楽ライフを送ってほしい。