当初趣味の自転車のことを書いていこうと思って始めた当ブログであるが、最近はほとんど自力走行しておらずもっぱら自動車ばかり使っている。
そんな自動車好きの筆者は昔から車中泊も少しばかり嗜むのだが今回は初めて本格的な車中泊用ベッドの製作にトライしてみたのでその記録を残しておく。例によって誰かの役に立てば幸いだが、最悪自分用の備忘録としての意味が強い。
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なぜ車中泊か、なぜベッドが必要か
なぜ車中泊用のベッドが必要かという話なんだけど、車中泊なんてしなければ当然ベッドなんて必要ない。
車中泊する必要があるのだ。車中泊する必要があるというのは日帰りできないほど遠くへ行きたい用事があるからだ。
日帰りできないほど遠いというのは京都あたりだったり、滋賀県あたりだったり岐阜県の滋賀県寄りの方だったり。なにがあるかというと中山道の宿場があるのだ。
それらを訪ねて回りたい(中山道69次めぐり)というのが2021年以降のマイブームだ。そのマイブームと新車購入が重なったので乗るしかない!このビッグウェーブに!
ということでまだ新車(少なくとも3年目車検までは)で心も車も新鮮なうちにベッドを作って快適に車内で宿泊できるようにしようというものだ。
なぜホテルに泊まらないの?という疑問がでるかもしれないがホテルもいいが、それってよほど金持ってる人だよねってこと。
金があれば思いついたとき金に糸目をつけずにすぐ見つけたホテルに泊まれるかもしれないし、見つけたホテルが空いていなければ次のもっと高いホテルっていうふうに選択できる。
しかし金がない自分はそういう次から次に高いホテルに選択肢を渡るということができない。
思い立ったらすぐ泊まりたいというところまでは金持ちとまったく同じ気持ちなのだが、その手段がいまここにいる車内で寝てやろうということ。
要するに率直にいってしまえば金の問題。車中泊用ベッド1人用を創意工夫で自作すれば予算1万円程度でできる。マット入れるともう少しかかるかもしれないがそれでもホテルへ毎度泊まるより安いし、手作りしてしまえば出来合いのベッドキットよりさらに安い。
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車中泊ベッドの条件
ちょいと前置きが長くなったが本題に移っていく。条件だ。
軽いこと
まずは軽いことが大事。燃費に響くほど重いということはあまりないが、長く使っているとやはり効いてくるはず。
それにそんなに使用する頻度は多くないとはいえ毎回重たい思いをして設営するのは憂鬱で結局使わないという事態になりかねないのでそれだけは避けなければならない。
最小限の材料
イレクターパイプとジョイントとワイヤーメッシュと車中泊マットで最小限の組み合わせが実現できたのではないかと思っている。
本格的に強度計算とかできればなお満足感は高いだろうけど文系脳だからこれで精一杯だった。
板になるものは薄くて丈夫なもの
さきほど種明かしをしてしまったが一般的に自作での車中泊用ベッドの材料としてはコンパネ(コンクリート型枠用合板)を皆さん使用しているようだ。
ワイヤーメッシュはかなり少数派と見受ける。
しかしワイヤーメッシュの良さを大多数はわかっていないだろう。コンパネは重いし切っただけでなく周りをカバーしなくては使えないし嵩張るしで、平らという以外なにも良いことがない。
そりゃ車内の壁に合わせて切ればキレイな車中泊用フロアができるかもしれんけどそれって自己満足じゃろ?
手段と目的を履き違えてる気がする。
誰かに見せるためのもんて感じ。←こういうことをYouTubeでしゃべるとバッドマークつきまくるよね。でもここはホームグラウンド(自分のブログ)だからなんでも言っちゃう。
本当に実用性を考えたらできるだけシンプルにやらないと続かんというのが一度コンパネで自作して失敗した自分の到達した結論だ。
「あまりにきれいなフラットベッドは動画の再生数を稼ぎ収益性を上げるのが主目的」というのが自分の邪推である。
ベッドにするのは助手席側のみ
車中泊するのは自分の場合1人が前提であるので作るのは助手席側のみである。運転席側に作るようにしてしまったら畳まないと走行できないじゃない?
助手席側に組み立てるように作れば最悪ベッド設営したままでも走行できるし、なんなら横になりながら走れる。
冗談です。
もっともイレクターパイプで作るので今後気が変わって2人目のベッドも作りたいかなってなったときジョイントで簡単に拡張できるのもイレクターパイプの利点だ。
組み合わせで後ろ半分をフラットにできること
これは難しい課題ではあるのだが、イレクターとジョイントを組み合わせて自動車の左半分のベッド状態から後ろ半分のフラットベッド状態にもトランスフォームできるようにしたいと考えている。
市販のベッドキットならそういう芸もできるようだが自作となると工夫が必要で現在まだ思案中である。
そんなに難しくはないだろうが材料を余分に買うだけの話である。だがいかに余分な材料を買わずに実現させるかに醍醐味がある。
ただし別に赤ちゃんを後部に寝かせたいわけではなく、なんとなく後ろ半分でもフラットにできるようにしてあれば面白いうかなといった程度の動機であるのでそんなに重要な要素ではない。
水平であること
これはあたりまえといえば当たり前なんだが意外にも難しい。
自動車内の床やらシートの背もたれ部分などは地球に対して完全な水平というわけではなく微妙に傾いていたり柔らかかったりする。
だからそれらを吸収して水平なベッドを作るのはなかなか大変なんだ。実際に自分で今回やってみて左右で支柱の長さを変える必要があるということを知って愕然としたり、同じ長さにしてしまったが少しぐらいだったら我慢しようと妥協したりとか。
概ね水平にすることは難しくない。ただ完璧に水平にするのは難しく、そうしたければ結局アジャスターボルト等が必要になる。
できれば水平調整できること
できなければなにか挟めばよい
設営の都度、水平を出すために支柱にアジャスターボルトの機構をつけるのはヤザキの部品でできることできるが重量増しとコンパクト性悪化と予算アップが気にかかる。
なにか挟めば解決するだろし気が向いたらアジャスターボルトに付け替えよう。
組み立てが簡単
市販で売られているベッドキットは組み立てるのに1時間ぐらいかかりそうでかわいそうになる。しかも車内に居たままでは完結できなさそう。
一旦車外に出て設営作業をしなければならないとなると雨の日や大風の日は悲惨だ。まあそんな天気の日に車中泊するのもテンション下がるし。
しかも一番の問題は解体して車内に積むと乗車定員の4人は乗れなそうだということ。あるいは4人乗れたとしても荷物は一切積めなそうということ。
市販の奴って仕上がりはきれいに見えるけど実用性は極めて低いんじゃないかって思うがいかがだろうか。その証拠に市販の奴は設営状態の写真はあれど収納した状態の写真がほとんど出回ってない。見せられたもんじゃないってこと。
それに対して我がベッドはイレクター数本とジョイント、そしてワイヤーメッシュ2枚、その上に膨張マットという構造なので車内にいたまま設営が可能だ。もっとも1人用だから簡単というのもあるが。
分解可能である
イレクターパイプというのは固定するのは基本的には専用の接着剤が推奨されている。だからこれから説明する内容は保証外の話であるから参考程度に読み進めてほしい。
マスキングテープと化粧ビス
設営したときの固定用としてパイプにマスキングテープを貼り少々きつくしたということと、位置決めが必要になるところにはM3の雌ねじを切りM3x6の化粧ビスで固定するようにした。
マスキングテープは使っているうちにボロボロになってくるが安いものなので都度補修すればよく、M3のビス穴は面倒でも最初に施工しておけば組み立ての都度面倒な位置決めを簡単にすることができる。
【追記】マスキングテープはパイプ径への影響が大きくジョイントに嵌めにくくなるのでやめた。
使わないときは極限までコンパクト
たまにしか行かない車中泊ドライブなのだから車中泊ベッドを使わない時間のほうが圧倒的に長い。
だから収納性をいかに良くするかというのが使うときと同じくらい重要な要素だ。
トランスフォームで別の形に
車両左半分にベッドとして形成できるだけでなく、イレクターの利点を活かした変形というのもできなくては利用価値が半減する。
トランスフォームできる形は想像力で無限に広がる。後ろ半分をフラットにしてもいいし棚に変形させてもいい。
現状では構想段階だがいずれ形が決まったら追記するか新しい記事として公開したい。
選定した材料
イレクターパイプ
部位名 | 長さ(mm) | 数 |
縦方向 | 900 | 4 |
中央足 | 172 | 2 |
横方向 | 301 | 5 |
後方足 | 249~250 | 2 |
中央コの字支え足 | 120 | 2 |
前方左足 | 431 | 1 |
前方右足 | 418 | 1 |
ヤザキのイレクターパイプはDIY界隈では有名中の有名でこれを知らずしてDIYは語れない。もうなにもいうまでもなくヤザキのイレクターパイプだ。
重さもそこそこ軽く頑丈で、オプションのジョイントはさまざまな結合に対応できる種類が用意されている。そしてそんなに高くない。
あとは想像力をフルに活用して自分だけのオリジナルベッドをつくるだけだ。
前方左右の足の長さだけちょっと違うのは助手席足元に電装品のコードをはわせているから高さがちょっと変わってしまっているかもしれない。これはなにもしていない人だったら同じ高さでいけるかも。
使ったジョイント
部品番号 | 数 | 備考 |
J-4 | 3 | 4箇所角のうち3箇所 |
J-12A | 1 | 最後部運転席側との繋ぎ余地用 |
J-7B | 2 | 中央支柱 |
J-23A | 2 | 前後繋ぎ |
J-59C | 4 | 中央付近での左右梁 |
J-118B | 2 | 中央付近での左右梁 |
J-103 | 6 | 脚だがアジャスターにしたい |
J-5 | 2 | 全席座面部支え |
今後の改善余地はアジャスターで足の高さの微調整をできるようにしたいが、これは使用頻度とのかねあいでそんなにしょっちゅう車中泊にでかけないようなら買わない。
アジャスター | 6 | アジャスター |
J-118B | 2 | 中央部支柱倒れ予防 |
ワイヤーメッシュ
サイズ | 数 | 購入先 |
900mm x 450mm | 2(800円ぐらい/1枚) | ホームセンターカインズ |
よくYouTubeで見かける自作ベッドではなぜか皆さんコンパネ(コンクリート型枠用合板)と呼ばれる板を切り出して、そいつにウレタンフォームみたいなクッションを貼り付けてベッドをこしらえている。
なんでそんな重たい材料を使うのかなって疑問に思う。
自分も遡ること20年以上前にデリカスペースギア2WDをキャンピングカー仕様に構造変更しようとしたとき、同じくコンパネを切り出してクッションを貼り付け布でカバーしたという経験はあるがあれは重い。
確かに平面を作れるが、はっきりいってあんなのいつも車に入れておきたくないし個人的には使い物にならないと断言する。
そこへいくとワイヤーメッシュでできたラティスは強度はそこそこで、軽く薄く理想的な材料であるといえる。唯一不満を挙げるとすると好きな形にできず、売られている大きさをそのまま使わなければならないという点だ。
【追記】もう一点欠点があり、それは寝ていると荷重で変形するということ。重さのかかる部分がだんだん歪んでくるので何かしらの対策が必要と思われる。それはイレクターパイプの梁を増やし支えを強化することで改善できる。
だが車上生活者じゃないんだから(YouTuberの中にはガチ車上生活者もいるらしい)そこまで完璧な形でなくともよい。
必要なことはイレクターで組んだ骨の上に敷いてマットを支えられるかということだ。
今回はイレクターパイプの土台の上にワイヤーメッシュを敷くという案で大幅なかさばりを予防できている。コンパネを使ったら常時車載というわけにはぜったいいかなそうだから。
車中泊マット
サイズ | 数 | 購入先 |
10cm x 60cm x 188cm | 1 | 安かったのは楽天 |
|
ロールされているこれのゴムを外すだけで事前に膨らんでマットの形になる。不思議だが便利なマットだ。ただし逆に収納時は力を込めて巻く必要がありあまり力がないとちょっと辛いかもしれない。
普段から多少の筋トレはしておいたほうがこれを巻くときのためにも健康のためにもいいだろう。
完成状態
ベッドモード
ベッドモードでの状態がこちらでこれはそんなに重要ではない。できて当たり前だ。ほぼ平らになりマットも十分な厚さがあるので背中に硬いものが当たるなどなく快適に寝られそう。
サンキで買った低反発枕もようやくまともに使う機会を得られようというものだ。
【追記】枕はそんなに本格的なものは必要ないとわかったのでサンキで買った低反発マットは嫁氏にくれた。枕はシュラフの袋とかなにかを入れていた袋に服を詰めれば代用できる。枕が替わると眠れなくなる体質なのだがそもそも車中泊そのものが眠れなくなる環境なので今更というわけで枕は現地製作とする。
収納状態
普段も載せておけることが重要で、そうでないとふらっとドライブに出かけて思い立って今日は車中泊しちゃおうかなっていう無計画なことができないとつまらない。
かといって収納状態でまともに定員の4人が乗車できないのも駄目だ。巷にはコンパネを使った自作車中泊ベッドが溢れているがそれって4人乗車するためには車から全部または一部降ろさなきゃならないよね?って突っ込みたくなる。
長めのパイプ置き場
長めのパイプはちょっと不安だったがなんと2017年メジャーチェンジモデルのJF3、JF4でも後部座席の下に収められるのだ。驚いた。ぎりぎりだがイレクターパイプ4本ならなんとか入る。しかも4本入れるとぴったりで走行中のガタツキもない。これ以上でもこれ以下でも駄目(ってこたあないけど)だ。
短めのパイプ置き場
短めのパイプは巾着袋にでも入れて後ろに入れておこう。とりあえず撮影のために車中泊マットの入っていた袋を流用したが同様の巾着袋はそのうち自作しよう。
ワイヤーメッシュ置き場
ワイヤーメッシュは当初は運転席のうえに仮固定みたいに設置しようと思ったが、それで運転するとけっこうガタガタとうるさいということがわかった。
だから頭上に仮置きするのは辞めておいて・・・ちょっと考え中だ。
【追記】後部座席の足元のカーペットの下に敷いてしまうとなにもなかったかのようにすっきり収まってしまった。もっともそんなに毎週のようにでかけるわけでもないので実際には物置においておく。
車中泊マット置き場
車中泊マットも後部座席の後ろに置いておこう。荷物を後ろに置きたいときは柔らかいから前に置いてもいいし、後ろに荷物を置きたいときっていうことは4人乗車しているときだから前に置いて誰かのクッションとして使うことも可能だ。柔らかいからどうにでもなる。
枕の置き場
枕は本当は車内に置いておきたくない。車中泊マットと違って小さくできないから。それとも小さくなるだろうか。
【追記】上記いろいろ普段の車内での置き場について考察したが、結局のところそこまで頻繁に泊まりででかけられないのですべて物置に保管している。ただそれぞれ巾着袋に入れたりなんだりコンパクトにしてあるので積み込みと積み出しは楽だ。
組み立てと収納に関してのテクニック
- 各ジョイント挿入の箇所には接着剤をつけずパイプ側にマスキングテープを貼り簡単に抜けないようにする
- ジョイントだけでなく数本ジョイントを通さなければならない箇所、あるいは位置決めが必要な箇所にはテープを貼らずネジ穴を切り小ねじで固定できるようにする
- 梁になる部分は貫通タイプのジョイントではなく鈎(かぎ)状のジョイントを使い簡単に組めるようにする
▼一番大物の90cmイレクターパイプは後部座席の下に4本しまっておけるからうれしい。
【追記】こんなにドヤ顔で書いたものの実際に運用してみるとやはり邪魔で普段は車内に置いていない。ただ出かけるときにサクサクっと物置から運び込めるので車中泊のハードルが下がったといえる。
まとめ
記事を当初書いた時点ではまだこの設備で車中泊をしていなかった。
だから感想を書くといっても見た目の感想だけでしらじらしいものになってしまう。いずれ車中泊したら使用感もここに追記したい。↓した
とはいえ、見た目に関してはおおむね満足できるものに仕上がったと思う。しかも価格もそんなにかからなかった。一番高いのはマットであるがそれだって安い店安いタイミングをねらって実質6000円ちょうどぐらいで入手した。
あとは数回車中泊をやりさえすれば元は取れる。
巷には車中泊といってもまじでゴツいやつが多すぎてそれって引っ越しでもするんかよって思っていたが自分は自分の理想に近いものができて満足だ。
車中泊ベッド解説動画
前編
後編
感想について
サクッと感想を書いてバージョン2.0につなげる記事にしたのでこちらも興味があれば読んでみてほしい。