高速道路のサービスエリア(SA)といえば、長距離ドライブの休憩地点というイメージが一般的だ。しかし、関越自動車道の上里サービスエリアは、そんな常識を覆す意外な一面を持っている。今回は、この特異なSAの魅力と、地元民にとっての意外な使い方について深掘りしてみよう。
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1. 上里SAの特異性:田舎にありながら2軒のスターバックス
上里SAの最大の特徴は、上下線それぞれにスターバックスが設置されていることだ。これは一見何の変哲もない事実のように思えるかもしれない。しかし、地域の状況を考えると、実はかなり異例なのだ。
例えば、上里SAがある上里町の近隣都市、熊谷市を見てみよう。熊谷市は人口約19万人を抱える中核市だが、2018年の時点でスターバックスの店舗数はたった1軒だった。それに比べ、人口わずか3万人ほどの上里町に、しかも高速道路のSAという限られたエリアに2軒のスターバックスが存在するのだ。これは、コーヒーチェーン店の出店戦略から見ても、非常に珍しいケースと言える。
この状況は、地元民にとっては「許せない」という冗談まじりの反応を引き起こすほどだ。都市部よりも田舎の高速道路SAの方がスターバックスの数が多いという逆転現象は、確かに驚きを禁じ得ない。
2. 上里SAの意外な利用法:高速道路に乗らずに利用可能
さて、ここからが本題だ。実は、この上里SAには高速道路を利用せずに入ることができるのだ。これは多くの人にとって意外な事実かもしれない。通常、SAは高速道路を利用する車両のためのものであり、一般道からの利用は想定されていない。しかし、上里SAは例外的に外部からのアクセスが可能なのだ。
ただし、注意点がある。徒歩での入場は可能だ。これにより、地元の人々や近隣を通過する旅行者にとって、思わぬ休憩スポットとして利用できる可能性が生まれる。
さらにスマートETCがあるので以下のような段取りとなる。
- 練馬方面よりの下り利用車:スタバを利用したあと高速道路から降りることができる。
- 下り方面スマートインター入庫車:PAには入れず本線へ行くのみ※
- 高崎方面よりの上り利用車:練馬方面への運行を続けるならスタバ利用可=スマートインターからは出られない
- 上り線利用でスマートインターから出る車:スタバは通れない※
上記の※に該当する人は一旦上里SAの外から徒歩で中に入りスタバで買おう。
3. 下り線SAへのアクセス方法
では、具体的にどのようにしてSAに入ることができるのか、まずは下り線のSAについて見ていこう。
▼ここは出口専用なのでここから入ってはいけない。
高速道路のすぐ脇を側道が通っておりその側道づたいに上里SA下り方向に近づくと、車両進入禁止の標識がある出入り口が見えてくる。しかし、そこからもう少し新潟方向へ進むと、搬入車両用の入り口らしきものが現れる。
この入り口から進入すると、非常に狭い通路が続く。まるで「うなぎの寝床」のような細い道を進んでいくと、やがて一般用の駐車スペースが現れる。ただし、その数はわずか3台分だ。しかし、この駐車場がほぼ満車になることは稀のようだ。
▼Uターンして入口側を見たところ
この駐車場のすぐ向かいに、一般人用の入り口がある。ここから徒歩で入場すれば、スターバックスを含むSA内の施設を利用することができるのだ。
4. 上り線SAへのアクセス方法
一方、上り線のSAへのアクセスは、下り線に比べてさらに容易だ。その理由は、SAのすぐそばに「上里カンターレ」というお菓子のアウトレットのような施設があるからだ。
上り線SA付近には、数十台規模の駐車場がある。この駐車場を利用すれば、SAへのアクセスが非常に便利になる。駐車のしやすさという点では、断然上り線SAの方が優れていると言えるだろう。
▼西北を向いての画像で、左が上り線、右が数十台分の駐車スペース、右奥に見える建物がお菓子のアウトレット上里カンターレ。
駐車場のすぐ向かいにSAの入り口があり、そこから徒歩で入場できる。さらに、この駐車場からは上里カンターレまでも歩いて数分の距離だ。つまり、SAでの休憩とお土産購入を一度に済ませることができるのだ。
▼駐車場スペースから道を挟んで入口がある上り車線側。
5. スターバックス利用の現実:期待と現実のギャップ
ここまで読んで、「これは便利だ!高速道路を使わずにSAのスターバックスでノマドワークができるじゃないか」と思った人もいるかもしれない。実際、筆者もそう考えて実際に行ってみた。しかし、現実はそう甘くなかった。
結論から言えば、筆者は結局どちらのスターバックスも利用しなかった。その理由は、想像以上の混雑だ。店内のテーブル席は存在するものの、行列が途切れることがなくしたがってテーブルも空くことがない。このような状況では、落ち着いてノートパソコンを広げて作業するのは困難だ。
またよしんばテーブル席を取れたとしてもそんな激混みスタバでノマドワークをするにはいわゆる鋼のメンタルが要求される。
特に、アマチュアブロガーのような立場では、混雑した店内で居座り続けるのは心理的にも難しい。プロのライターやブロガーであれば、そのような状況でも平然と作業を続けられるかもしれないが、一般人にはハードルが高い。
店外にもテーブル席は設置されているが、ここで別の問題が発生する。上里SAがある地域は、日本一の暑さで有名な熊谷市にほぼ隣接している。つまり、夏季の屋外での長時間の作業は、熱中症のリスクを考えると現実的ではない。
さらに驚いたのは、この混雑が季節を問わないということだ。お盆休みならさすがに空いているだろうと期待して訪れても、やはり激混みの状態だった。
6. 上里SAの意外な魅力:地元の人々にとっての「オアシス」
しかし、このような混雑状況があるからこそ、上里SAの持つ別の魅力が浮かび上がってくる。それは、地元の人々にとっての「オアシス」としての役割だ。
高速道路を利用せずにアクセスできるという特性上、上里SAは地元の人々にとって、ちょっとしたお出かけスポットになっている。スターバックスでのコーヒーブレイクや、SAならではの限定商品のショッピング、長距離ドライブの疑似体験など、様々な楽しみ方ができるのだ。
特に、田舎町にありがちな「若者の行き場所がない」という問題の解決策の一つになっているかもしれないww。都会的な雰囲気を味わえるスターバックスが身近にあることは、地元の若者にとっては大きな魅力になっているだろう。
7. 上里SAの課題と今後の展望
一方で、このような人気は新たな課題も生み出している。例えば、駐車場の不足だ。特に下り線の域外駐車スペースが極端に少ないため、休日などは駐車待ちの車で周辺道路が混雑する可能性がある。
また、SAの本来の目的である「長距離ドライバーの休憩所」としての機能が、地元利用者の増加によって阻害される可能性も懸念される。
これらの課題に対して、今後どのような対策が取られるのか注目される。例えば、駐車場の拡張や、地元利用者と長距離ドライバーのための利用時間や区域の分離などが考えられるだろう。
8. 結論:意外な魅力を秘めた上里SA
関越自動車道の上里SAは、高速道路のSAという枠を超えた、意外な魅力を秘めたスポットだ。2軒のスターバックスの存在、外部からのアクセス可能性、地元の人々の憩いの場としての機能など、従来のSAのイメージを大きく覆す特徴を持っている。
確かに、混雑や駐車場不足といった課題も存在する。しかし、これらの問題は裏を返せば、上里SAが多くの人々に愛され、活用されている証でもある。
今後、上里SAがどのように進化していくのか、そしてこのような「開かれたSA」のモデルが他の地域にも広がっていくのか、非常に興味深い。高速道路のSAは、もはや単なる休憩所ではない。地域と共生し、新たな価値を生み出す可能性を秘めた空間として、その役割を再定義していく時期に来ているのかもしれない。
あとがき
そこそこ注目度の高い記事だったのでリライトしてみたが結構建前論も混じっている。
最初に記事を書いたのが2018年だったので数年たって状況も変わっているかもしれない。
ときどき行ってみよう。