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カメラマニアの挑戦:Canon EOS R8用L型ブラケットの自作改造

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はじめに:なぜL型ブラケットにこだわるのか

カメラ愛好家にとって機材の選択と改良は永遠の課題だ。特に、デジタルカメラの進化が著しい現代では、新しい機能や形状に合わせた周辺機器の需要が高まっている。今回は、そこそこ新し目のミラーレスカメラ、Canon EOS R8用のL型ブラケットを自作改造する挑戦について語ろう。

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L型ブラケットとは

L型ブラケットとは何か。それは、カメラを三脚に取り付ける際に使用する金具で、縦位置撮影を容易にするものだ。

カメラ本体の底部に取り付け、L字型の構造によって、カメラを90度回転させても安定して三脚に固定できる。確かに、自由雲台を90度回転させれば縦位置撮影は可能だ。しかし、それではワンタッチで縦横を切り替えられない。

L型ブラケットを使えば、カメラを一旦三脚から外すことは必要だが、微妙な方向調整など不要で瞬時に縦横の撮影姿勢を変更できる。これは、風景写真や人物ポートレートなど、縦位置と横位置の両方を頻繁に使用するジャンルの撮影で特に重宝する。

Canon EOS R8は、2023年に発売された高性能なミラーレスカメラだ。小型軽量ながら、優れた画質と多彩な機能を備えている。このカメラ用に設計されたL型ブラケットは存在するがその価格は決して安くない。

多くの場合、カメラ本体の価格の5%程度の出費を覚悟しなければならない。カメラ本体にすでに相当の出費をしている身としては、できれば節約したい。そこで浮かんだのが、汎用L型ブラケットを改造するアイデアだ。

この挑戦には、単なる節約以上の意味がある。カメラという道具を自分好みにカスタマイズすることで、より深い愛着が生まれる。また、改造のプロセスを通じて、カメラの構造や機能への理解も深まる。これは、単なる撮影者からカメラを知り尽くした使い手への成長を意味する。

汎用L型ブラケット:期待と現実

まずは試しに、安価な汎用L型ブラケットを購入してみた。インターネットで検索すると、様々なメーカーから多種多様な汎用ブラケットが販売されている。価格帯も幅広く、1,000円弱の格安品から1万円を超える高級品まである。今回は、改造前提なので最安価格の製品を選んだ。

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期待を胸に装着してみたが、予想通りすぐに問題点が浮き彫りになった。

バリアングル液晶との干渉

R8の魅力の一つは、自由に動かせるバリアングル液晶だ。これにより、ローアングルやハイアングルの撮影が容易になり、自撮りも可能になる。しかし、汎用ブラケットを取り付けると、液晶を展開した際に干渉してしまう。

ブラケットをずらせば使用可能だが、そのたびに調整するのは面倒この上ない。特に、動きのある被写体を撮影する際や、瞬間的なシャッターチャンスを逃したくない場面では、この問題は致命的だ。

充電ポートへのアクセス困難

カメラ左側面にある充電ポートが、ブラケットによって塞がれてしまう。R8はUSB-C端子を採用しており、撮影中の給電や、パソコンとの接続にも使用できる。

充電の度にブラケットを外すかずらす必要があり、これも煩わしい。特に、長時間の撮影や、屋外でのモバイルバッテリーからの給電を考えると、大きな障害となる。

バッテリーとSDカードへのアクセス制限

カメラ底面にあるバッテリーとSDカードの格納部も、ブラケットが邪魔をして開けられない。これらを交換する際も、ブラケットを緩めてずらす必要がある。

撮影の現場で素早くバッテリーやSDカードを交換できないのは、大きなストレスだ。特に、イベントや結婚式などの一期一会の撮影機会では、このわずかな手間が決定的な瞬間を逃す原因になりかねない。→イベントや結婚式など一期一会の撮影機会では安物の汎用品をむやみやたらと使うべきではないというのは重々承知の話だ。

これらの問題点を見るに、汎用品をそのまま使用するのは現実的ではない。確かに、価格は安いが、使い勝手を著しく損ねてしまう。カメラ本体の機能を最大限に活かせないのでは、本末転倒だ。ここから、自作改造への道が始まった。→なぜ自作に拘る?ちゃんとしたの買えばいいじゃんというツッコミはお断り。

自作への挑戦:試行錯誤の日々

第1段階の改造については別の記事で述べているのでそちらも参照されたい。

自作改造 第一段階

最初の改造案は、以下のようなものだった:

  1. 縦方向の金具のネジ穴(馬鹿穴)を片側だけ加工する。
    – これにより、加工していない方の穴を軸に金具を簡単に前方に倒せるようになる。
  2. 汎用の化粧ボルトを使用し、手で締められるようにする。
    – 工具なしで調整可能になり、現場での柔軟な対応が可能になる。
  3. 液晶を起こす際は、上記化粧ボルトを緩め、縦金具を前方に倒して一時的にどかす。
    – バリアングル液晶の全機能を活用できる。
  4. 充電時も同様に縦金具を前方に倒す。
    – USB-C端子へのアクセスが可能になる。
  5. 液晶を使用しないときは縦金具を元の位置に戻す。
    – 通常の撮影時や縦アングルでの三脚取付の安定性は維持できる。

この方法で、ある程度の改善は見られた。バリアングル液晶の使用や充電ポートへのアクセスが可能になった点は大きな進歩だ。しかし、使用のたびに金具を動かす必要があり、まだ満足できるレベルではなかった。

特に問題だったのは、縦位置撮影時の安定性だ。金具を手で締めるだけでは、重量のあるレンズ(持ってないけど)を付けた際に少しずつ緩んでしまう恐れがある。

また、頻繁に金具を着脱することで、ネジ山が徐々に劣化していく懸念もあった。

さらに、バッテリーやSDカードの交換問題は依然として解決されていない。これらの問題を克服するために、さらなる改良が必要だった。

自作改造 第二段階

さらなる改良を重ね、次のような方法にたどり着いた:

  1. アルカスイス互換プレートを別途購入しM4のネジ穴(馬鹿穴)を追加し、これを縦金具の代わりとする。
    – 元のL型ブラケットの縦金具は、アルカスイス雲台用の溝が改造に適していなかった。アルカスイス規格は、多くの三脚や一脚で使用されている標準的な取り付け方式だ。縦金具の根本まで溝がないため、一部除去加工すると溝自体がなくなってしまう恐れがあったのだ。
    – 新たに追加したM4穴に化粧ボルトではなくキャップスクリューで締め込むことにより、縦位置での安定性が大幅に向上した。
  2. そのアルカスイス互換プレートの、液晶と干渉する部分をカットする。
    – 液晶との干渉を防ぐために一部を除去しても、アルカスイス用の溝は十分に残せることがわかった。
    – カット部分は慎重に設計し、強度を確保しながら最大限の可動域を確保した。
  3. 横プレートの形状を微調整し、バッテリーとSDカードの交換を可能に。
    – 横プレートの一部を切り欠き、カメラ底部の蓋を開けられるようにした。
    – この改良により、ブラケットを外すことなく、素早いバッテリーとSDカードの交換が可能になった。
  4. 充電ポート周辺の設計を最適化。
    – もともと小さいアルカスイス互換プレートなので液晶との干渉防止に加工すれば自然と充電ポートに干渉しない形状になる。

この改造により、ブラケットを緩めたり動かしたりすることなく、液晶を自由に動かせるようになった。さらに、縦位置で撮影したい時も、すぐにアルカスイス雲台に取り付けられるようになった。バッテリーやSDカードの交換も、ブラケットを外すことなく行えるようになり、実用性が大幅に向上した。

改造の過程でアルミニウムの切削や穴あけなど、金属加工の工具や装置が必要ではあるが、これは自分の職業環境が幸いした。

自作改造 第三段階

当初のLブラケットの組み合わせで改造を行う。

  1. 横板を大胆にカットしバッテリーボックスへのアクセスを容易にする
  2. 縦板を上下反転した状態で横板と接合できるように穴をあける
  3. 縦板の大部分をカットしバリアングル液晶との干渉を防止する
  4. アルカスイス仕様の三角形状を加工して出し入れしやすくする

という感じでやった。写真参照してもらえばわかると思うが、ほとんど原形をとどめていないというやつになったが完璧に使いやすくなったのではないかと思う。

これって売れるんじゃね?

改造の結果:成功か失敗か

こうして、またしても自作によって望んでいたものを実現することができた。しかし、果たしてこの改造は、純正品を購入するよりも得だったのだろうか。ここで、コスト面、機能面、そして満足度の観点から、この自作改造を評価してみよう。

コスト面での評価

自作改造の方が安価であることは間違いない。汎用ブラケットと追加の材料費、そして工具の購入費を合わせても、純正品の半額以下で済んだ。具体的な内訳は以下の通りだ。価格は購入時のものなので現在価格とは違う場合がある。

  1. 汎用L型ブラケット:798円
  2. アルカスイス互換プレート:361円
  3. 化粧ボルト2個:180円(90円/1個)
  4. 工具(ドリルビット、やすりなど):職場にあるもの

合計で1400円弱程度の出費で済んだ。専用品が3000~20,000円前後することを考えると、小幅~大幅な節約になった。

しかし、この金額には自分の労力や時間は含まれていない。改造に要した時間は、構想から完成まで合計で約20時間。趣味として楽しんだ面もあるが、この時間を別の撮影や作品制作に充てられたことを考えると、一概に安上がりとは言えない面もある。

機能面での評価

機能面で見ると、完全に満足できる結果とは言い難い。確かに、バリアングル液晶の使用や縦位置撮影の問題は解決した。充電ポートへのアクセスも改善され、バッテリーやSDカードの交換も容易になった。これらの点では、当初の目標をほぼ達成できたと言える。

しかし、専用品ほどの完璧な適合性は得られていない。例えば、カメラとブラケットの接合には水平にきちっと着けたいとことではあるがそれができるようにはなっておらず目見当でつける。厳密な位置決めが必要な建築写真などでは、わずかながら不安が残る。

また、表面処理の品質も専用品には及ばず、長期使用での耐久性に不安が残るのはもちろん加工した部分はアルミの銀色がむき出しだ。

満足度

結局のところ、この自作改造は妥協点を見出す作業だったと言える。専用品を購入すれば、確かに高価ではあるが、すべての機能において完璧な使用感が得られただろう。一方、自作品は完璧とは言えないまでも、十分に使用に耐える機能性を持っている。

最大の満足点は、自分の手でカメラをカスタマイズしたという達成感だ。市販品では得られない、愛機への特別な愛着が生まれた。また、改造のプロセスを通じて、カメラの構造や機能への理解が深まったことも大きな収穫だった。

しかし、プロフェッショナルな現場で使用するには、当然ながら不安が残る。特に、重要な撮影や、厳しい環境下での使用では、やはり専用品の信頼性に軍配が上がるだろう。

まとめ:カメラマニアの永遠の課題

この経験を通じて、改めてカメラ機材の精密度の深さを実感した。単なる道具ではなく、自分の創造性を最大限に引き出すパートナーとしてカメラを捉えるからこそ、こうした細部にまでこだわりを持つべきなのだろう。

自作改造は、時として専用品以上の満足感をもたらすこともある。それは単に機能面だけでなく、自らの手でカスタマイズした愛着や、問題解決のプロセスそのものから得られる喜びも大きい。今回の改造を通じて、カメラという道具への理解が深まり、撮影技術以外の面でも成長を感じることができた。

しかし同時に、プロフェッショナルが設計した専用品の価値も再認識させられた。完璧な機能性と使いやすさ、そして信頼性には、それなりの対価を払う価値があるのかもしれない。特に、プロフェッショナルな現場や重要な撮影機会では、専用品の安心感は何物にも代えがたい。

結局のところ、自作か専用品かの選択は、個々のカメラマニアの価値観や優先順位によって変わってくる。重要なのは、自分のスタイルやニーズに最も合った選択をすることだ。趣味の領域で楽しむ分には自作の醍醐味を味わうのも良いだろう。一方で、プロとして活動する場合は、専用品の信頼性を選ぶのが賢明かもしれない。

この L型ブラケット改造の探求は、カメラ愛好家としての私の成長の一コマとなった。技術的なスキルアップだけでなく、機材選択の際の判断力も多少ではあるが養われた。

これからも、より良い撮影環境を求めて、探求と挑戦を続けていくつもりだ。カメラという道具を通じて、世界をより深く、より美しく切り取る技術を磨いていきたい。

そして最後に、写真愛好家たちへ。機材へのこだわりは大切だが、それ以上に大切なのは、その機材を使って何を表現するかだ。道具は確かに重要だが、真の芸術は、それを扱う人間の心と技術から生まれるものだということを、決して忘れないでいてほしい。とAIが言っていたよ。

カメラ機材への探求は終わりのない旅だ。新しい技術や製品が次々と登場する中で、私たちカメラマニアは常に学び、適応し、時には自ら創造していく必要がある。しかし、その過程こそが、写真という芸術形態の魅力の一つでもあるのだ。

今回の L型ブラケット自作改造の経験は、単なる金銭的な節約以上の価値があった。それは、カメラという道具への深い理解と、創造性を形にする喜びだ。これからも、カメラを通じて世界を見つめ、そして自分自身を表現し続けていきたい。

最後に、この記事を読んでくださった方々へ。皆さんも、自分なりのカメラへのアプローチを見つけ、楽しんでいただければ幸いだ。そして、もし似たような挑戦をされる方がいれば、ぜひその経験を共有してほしい。私たちカメラ愛好家のコミュニティが、互いの経験や知識を分かち合うことで、さらに豊かなものになっていくことを願っている。

カメラは単なる機械ではない。それは私たちの目であり、心でもある。その道具を最大限に活用し、世界の美しさや真実を捉え続けていこう。そして、その過程で自分自身の成長も楽しんでいこう。カメラマニアの旅は、まだまだ続く。

写真を撮るのをつい怠っているので興味がある方は動画を見てください。

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