埼玉県秩父郡皆野町。その静かな町並みの中に佇む「そば処 味里」を訪れた。秩父の山々に囲まれたこの地域は、古くからそば栽培が盛んで、その伝統を受け継ぐ名店の一つである。
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店舗に到着すると、まず目を引いたのは増改築中の建物だ。大きな窓が特徴的で、将来的にはそば打ちの様子を客が見学できるようになるのではないかと推測される。そば打ちの技を間近で見られる機会があれば、そば文化への理解も深まり、より一層の魅力となることだろう。
店内に入ると、落ち着いた雰囲気が漂う。テーブル席と座敷席が用意されており、客の好みや人数に応じて選択できる。この日は、ゆったりとしたテーブル席を選んだ。座敷席なら畳の香りが、これから味わう蕎麦への期待を高めるところだろうがやはり足が痛くなるのは避けたい。
メニューを眺めると、ざるそばや温かいそばなど、様々な種類のそばが並ぶ。迷った末に、店主おすすめかどうか知らんが「クルミつゆの天ぷらざるそば」を注文することにした。
過去にどこかのそば屋でやはりクルミつゆのそばを食べて好印象だった経験がそうさせた。
待つこと約10分。丁寧に盛り付けられたざるそばと、別皿に盛られた天ぷら、そしてクルミつゆが運ばれてきた。
まずは蕎麦を一口。コシがあり、喉越しの良さが際立つ。秩父地方の寒暖差が大きい気候が、蕎麦の風味を引き立てているのだろう。なんて知ったようなことを書いているが実際にはどこ産のそばなのか不明。
そば本来の香りと味わいが存分に楽しめる。
続いて、クルミつゆに蕎麦をつけて食す。クルミの風味が口の中に広がり、独特の味わいを醸し出す。確かに斬新で面白い試みだ。しかし、個人的な好みとしては、やはり従来の醤油ベースのつゆのほうが親しみやすいと感じた。伝統的な味わいに慣れ親しんできた舌には、少々違和感があったのかもしれない。
余談だが、通はそばつゆに麺を半分から１／３程度だけ浸して食べるものだという話を聞いたことがないだろうか。実はあれは昔はそばよりめんつゆのほうが貴重なものだったからあまり消費されないようにとの配慮からそういう宣伝をしたのだとか。
鰻を広めた平賀源内と一緒だ。
閑話休題。
天ぷらは、季節の野菜と海老が揚げられていた。サクッとした衣の食感と、中の具材の旨味が見事に調和している。天ぷらの油っぽさを、蕎麦のさっぱりとした味わいが程よく中和してくれる。
食事を終えて改めて店内を見渡すと、地元の常連客らしき方々の姿も目に入る。皆、思い思いのペースでそばをたぐり、くつろいだ様子だ。この光景からも、「味里」が地域に根付いた存在であることがうかがえる。
支払いは現金かPayPayのみとのこと。最近の地方店舗でも電子決済が浸透してきているとはいえ、まだまだだなと実感させられる。しかも、クレジットカードは使用できないので、現金を持参するか、PayPayアプリをインストールしておくことをおすすめする。
「そば処 味里」の魅力は、単においしい蕎麦を提供するだけでなく、秩父の自然と文化を体感できる点にある。増改築後は、そば打ちの様子を見学できるようになれば、さらに魅力的な空間になるだろう。そば打ちの音、粉の香り、職人の技。そういった五感で楽しめる要素が加われば、単なる食事処以上の価値を持つことになる。
また、この地域を訪れる観光客にとっても、格好の立ち寄りスポットとなりそうだ。秩父の観光名所を巡った後、ここで地元の味を堪能する。そんな旅の締めくくりにぴったりの場所と言える。
交通アクセスについても触れておこう。最寄り駅は秩父線の上長瀞駅で、駅から徒歩約4分ほど。車で訪れる場合は、国道140号線沿いにあるため、比較的見つけやすい位置にある。ただし、駐車場は限りがあるので、混雑時は近隣の有料駐車場を利用することになるかもしれない。
営業時間は11時から15:30または16:00まで。ただし玉がなくなったら営業終了である。夜の営業はしていないので、昼食時に訪れるのがよいだろう。定休日は水曜日となっている。
「そば処 味里」は、秩父の自然が育んだ蕎麦の味わいを堪能できる、そば好きにとっては一度は訪れる価値のある店舗である。クルミつゆの天ぷらざるそばは、個人的には少々癖があると感じたが、新しい味わいを求める方には興味深い一品だろう。次回は、オーソドックスな味わいのざるそばや、温かいそばも試してみたいと思う。
最後に、もう一度店舗情報をまとめておく。
店舗情報：
– 店名：そば処 味里
– 住所：埼玉県秩父郡皆野町大字皆野1390-1
– Google Mapsリンク：[そば処 味里]
– 電話番号：0494626755
– 営業時間：11:00～15:30,16:00日によって違う。Google Maps参照のこと
– 定休日：水曜日
– 支払い方法：現金またはPayPayのみ
– 座席：テーブル席と座敷席あり
– 駐車場：あり（数台分）
秩父を訪れた際は、ぜひ「そば処 味里」で、地元の味と文化を堪能してみてはいかがだろうか。増改築後の新たな姿にも期待が高まる。そば打ちの様子を見学できるようになれば、さらに魅力的な場所になることだろう。秩父の自然、文化、そして食。それらが一体となった体験ができる「そば処 味里」は、単なる食事処以上の価値を持つ場所である。今後の発展にも注目していきたい。
