中国にいるときには写真をブログに載せるどころか、街でカメラを構えた途端公安に捕まらないかとヒヤヒヤでした。いちいち「ここで写真撮っても大丈夫かな?」と現地駐在員の中国人に確認したものです。
そんな僕ですが、大胆にも最初のチンタオ空港で無事飛行機が着陸したものだから舞い上がってしまい、こともあろうに入国審査待ちの行列で並びながら写真を撮ってしまいました!
同行したシャチョウさんから「ここでは撮影はダメだよ」と言われ、超ビビって何食わぬ顔をして速やかにiPhoneで撮った入国審査現場の写真を消しました。うそじゃありません。
そこから入国審査を通過するまで生きた心地がしませんでしたよ。
なにしろ審査窓口1カ所に強面の係官が2人いたし、その後ろには泣く子も黙る公安警察官が控えているのですから。
いくら強引で適当にことを進めるかもしれない中国人でも入国審査の場所で写真撮影をする人間を厳重チェックしないはずはないかも。
カメラの前で平静を装う
入国審査の窓口に着いてパスポートと航空チケットと入国申請カードを渡してみせます。
彼らは何やらディスプレイとパスポートとを照らし合わせながらしきりと会話を交わしています。
もしかしてこんな会話をしているのではないだろうか・・・
「こいつさっきここを写真撮影していた奴だからきっと工作員かもしれないわ。渡航歴を出してみて」1人はいかつい顔ですが女でした。
「こいつパスポートが新しくてどこの渡航歴も乗ってないっすよ」
「でも写真撮影していたんだからきっとなにかあるはずよ。ペンタゴンにでも入って見なさいよ」
「いや、すでにペンタゴンにはアクセスしましたが怪しいところはありません」
「じゃあ、クレムリンのほうは、あと3号庁舎もね」
「うーん、何もしっぽがでませんね。どうします?一応防犯カメラには禁止区域での撮影が録画してあるだろうから禁止撮影現行犯で確保しておきましょうか。へっへっ2度と日の目は拝めませんやね」
「それはまずいわね。同行者のデブは何度もこっちと日本を行き来している常連だから怪しさはないのよ。外交上まずいことになると厄介だからひとまずここは泳がせましょう」
時間にして1分はなかったかもしれませんが、他の人より審査時間が確かに長かったのです。
きっと上の予想は当たらずとも遠からずではないでしょうか。
しかしビビった様子を見せては却って怪しまれると思って平静を装ってちゃんとパスポートと照合しやすいように写真と同様にメガネを外して、「ほんの気持ち」微笑んでみせました。
一応入国許可下りる
なんとなく不満そうな顔でパスポートと航空チケットを返してよこした審査官を後にしてなんとか入国することができました。
しかしこのあと9日間は公安から常に尾行されることになろうとは!
おそらくまったく滞在中には尾行されいてるとは気づきませんでした。
もしかしたら本当に尾行はされていなかったのかもしれません。
しかしやはり町中での写真撮影は憚られました。
どこに公安の目が光っているかわかりません。なんでもない風景を撮っても、なんとでもこじつけて逮捕することはできるでしょう。
新幹線でチンタオから上海まで移動するとさすがにここまでは尾行していないのではないかという安心感からやや開放的な気持ちになれましたが、それでも夜中に突然ホテルの部屋に突入してこないとも限りません。
1人ホテルに戻ると怖さでアダルトビデオなど見る気がまったく起きませんでした。
9日目の出国審査が最後の山場
何ごともなく9日経ち帰国の日を迎えました。
行きはチンタオ空港に降りましたが、帰りは上海空港です。行きと帰りが違う審査場所というのがせめてもの救いでした。
ですが油断できません。遅いとはいえネットワークですでに僕の移動経路は逐一中央に報告されていて、上海の出国審査で引っかかる可能性もないとはいえません。
とりあえず手荷物検査では怪しいものはなにもなくスムーズに通過できました、
さあ最後の砦、出国審査です。
もうここまで来れば何もないという気持ちの反面、いやいや4000年の歴史のある中国だ。大きい穴に捕虜を埋めてしまうような国だ。まったく油断は禁物だ、という気持ちもあります。
南無三!すべては神の思し召しだ。浅慮にもネタのためとはいえいきなり入国審査場で写真を撮るなどバカなことをした罰だ、と思い恐る恐る審査官にパスポートと航空券とを渡します。
あっけないほどあっさり審査は終わりました。
それどころか審査官の女性は9日間でついぞ見ることのなかった目の覚めるようなチャーミングな笑顔で「再見(ツァイチェン)」と微笑んでくれたのです。しかも美人なんです。中国には美人ていないと思ってたらなんだこんなところにいたのかって感じ。
惚れてまうやろ!!もうちょっと長い時間審査して欲しかった・・・
今日はこう思ったよ
最後の最後で美人に会えてまあラッキーといえばラッキーなんですが、中国へ行ったらくれぐれも写真撮影の場所には気をつけましょう。
要するに役人がいるところでは撮影はしないほうがベターってことでしょうか。
他にも中国出張中のエピソードが盛りだくさんあります。