人生に新たな彩りを加える瞬間は、予期せぬときに訪れるものである。筆者の場合、それは50代を過ぎてからのことであった。小さな箱のような形状をしたカメラが、世界観を大きく変える契機となったのである。
現在、筆者の情熱の中心は中山道の史跡撮影である。なぜ中山道なのか。それは、この街道が持つ深い歴史と、まだ誰も本格的に写真で表現していない(かもしれない)魅力があるからである。69の宿場町を巡る旅は、単なる撮影以上の意味を持つ。それは日本の歴史との対話であり、自分自身との対話でもあるのだ。
中山道の魅力は、各宿場に残る歴史の痕跡にある。本陣跡、高札場跡、そして道中に点在する一里塚。これらの史跡は、江戸時代の旅人たちの足跡を今に伝えている。特に一里塚は、現存しているものもあれば、跡地のみが残っているものもある。これらの違いを写真で表現することも、筆者の挑戦の一つである。
印象に残っている撮影の一つに、長久保宿の資料館横で撮影した写真がある。大八車と遠くの景色を一緒に収めたこの一枚は、過去と現在の対比を鮮明に表現している。しかし、この写真が気に入っているというわけではない。むしろ、さらなる改善の余地を感じさせる一枚なのである。
カメラへの興味は、単なる趣味の域を超えている。寝ても覚めてもカメラのことばかり考えているという状態は、まさに没頭と呼ぶにふさわしい。しかし、それはレンズ沼にはまっているわけではない。あくまでも撮影すること、特に史跡を撮影することに情熱を注いでいるのである。
技術向上のため、YouTubeで様々なカメラマンの講釈を聞いている。そこで得た知識の中から、一つでも思い出しながら撮影に臨んでいる。しかし、理論と実践の間にはまだ大きな隔たりがあることを痛感している。
最大の課題は、史跡を如何に魅力的に撮影するかである。史跡だけを撮っても、それほど印象的な写真にはならない。周囲の景色や花、木々との調和をどのように表現するか。これは未だ克服できていない大きな壁である。全体的に明瞭に写っているのが好みで、どこかをボカすといった技法にはあまり興味がない。しかし、これが正解なのかどうかも、まだ確信が持てないでいる。
なぜ史跡なのか。それは筆者の歴史への愛着に起因する。過去には神社に凝っていた時期もあり、御朱印集めに奔走したこともあった。しかし、そこには何か物足りなさがあった。統一感、すなわち背骨のようなものが欠けていたのである。
それに比べ、中山道制覇という目標は、達成の可能性が十分にある。69次のうちの一つである熊谷宿が地元であることも、この挑戦を後押ししている。中山道の史跡を美しく撮影し、記録に残すことが、筆者の新たなライフワークとなったのである。
将来的には、中山道の史跡をテーマにした写真展や写真集の出版を夢見ている。これは単なる自己満足ではない。中山道の魅力を多くの人々に伝え、日本の歴史と文化への関心を喚起したいという思いがある。
最新のミラーレスカメラ、Canon EOS R8を手に入れたことで、この挑戦はより具体的になった。カメラの選択理由は複雑だが、結局のところ、直感と家族の影響が大きかったように思われる。フルサイズセンサー、最新モデルであること、そして家族がすでにキヤノン製品を使用していたことなどが決め手となった。
撮影技術はまだ発展途上であるが、現代のデジタル技術のおかげで、撮影後の編集で写真の質を大幅に向上させることができる。例えば、熊谷宿の本陣跡の石碑の写真。Lightroomを使うことで、くすんだ原画から生き生きとした印象的な1枚に生まれ変わった。これは技術の進歩がもたらした恩恵である。
しかし、本当に大切なのは技術だけではない。中山道の景色を通して、日本の歴史や文化、そして自然の美しさを伝えたいという思いがある。それは、単なる「趣味の写真」を超えた、筆者なりの文化継承の形なのかもしれない。
カメラ機材については、現在3本のレンズを所有している。RF 24-240mm F4-6.3、RF 100-400mm F5.6-8、そしてEF 50mm F1.8である。初心者にしては多いかもしれないが、それぞれに役割があり、状況に応じて使い分けている。
中山道以外にも、撮影したい対象がある。それは人工物がほとんど写っていない雄大な自然景観である。中山道の史跡撮影とは対極にあるこのテーマも、いずれ挑戦したいと考えている。人の手が加わっていない自然の姿を捉えることで、また違った視点から日本の美しさを表現できるのではないかと期待している。
これからの旅で、どんな景色に出会えるのか。どんな歴史の断片を切り取ることができるのか。その期待に、今から胸が高鳴る。中山道の魅力を写真で表現するという挑戦は、筆者にとって新たな人生の章を開く契機となった。
この挑戦は、単に写真を撮ることにとどまらない。それは日本の歴史を再発見し、その魅力を現代に伝える試みでもある。中山道69宿を巡る旅を通して、日本の美しさを再発見し、それを世界に発信していく。それが、今の筆者の夢であり、目標なのである。
カメラを手にした50代の筆者の挑戦は、まだ始まったばかりである。しかし、この旅が自身の人生に新たな意味と目的をもたらしたことは間違いない。そして、この旅を通して得られる経験と感動を、写真という形で多くの人と共有できることを心から楽しみにしている。
この旅に興味を持った読者がいれば、ぜひ一緒に中山道の魅力を探る旅に出てほしい。きっと、それはあなたの人生にも新たな彩りをもたらすはずである。歴史と現代が交差する中山道で、カメラを通して見る新しい世界が、あなたを待っているのだ。
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