[PR]記事内のアフィリエイトリンクから収入を得る場合があります

 高齢の親をデジタル世界へ:インターネット導入の検討と課題

この記事は 約8 分で読めます。

iPad立てる道具

はじめに:デジタルデバイドを埋める試み

私の両親は高齢で、テレビや新聞から情報を得ていますが、インターネットとは無縁の生活を送っています。この状況を「情報弱者」と呼ぶべきかどうかは議論の余地がありますが、私自身がネットの恩恵を日々享受している中で、両親にもその利点を共有したいという思いが強くなってきました。

そこで、兄弟で話し合い、両親にインターネットを導入する可能性について検討を始めました。

主な目的:つながりの強化と知識の拡大

テレビ電話:距離を超えたコミュニケーション

テレビ電話の導入は、特に魅力的な選択肢です。車で15分程度の距離に住んでいる両親とはいえ、実の子供の自分だけでなく自分の子供つまり孫とも、より頻繁に顔を合わせられる機会を作ることができます。

私の子供たちは既に中学生になっており、祖父母とテレビ電話で楽しく交流するような年齢ではなくなっていますし姉の子供たちも同様の状況です。

しかし、私たち大人にとっては、テレビ電話は貴重なコミュニケーションツールになるでしょう。日々の忙しさの中で、実際に会いに行く機会が思うように作れない時でも、ちょっとした時間にテレビ電話で顔を見て話すことができれば、両親との絆を維持し、お互いの近況を知る良い機会になると考えています。

振り返ってみると、子供たちがもっと小さかった頃にこのような技術があれば、祖父母との交流がより密になっていたかもしれません。そう考えると少し残念な気もしますが、今からでも遅くはないと信じています。

オンライン百科事典:即時の情報アクセス

インターネットの導入により、Wikipedia等のオンライン百科事典を通じて、膨大な情報に即座にアクセスできるようになります。

私自身、何か知りたいことがあればすぐにWikipediaサイトやその他あらゆるワードで検索し調べる習慣がついていますが、この便利さを両親にも体験してもらいたいと思います。

昔は、ほとんどの家庭に百科事典が置いてありました。私の実家にもあり、時々開いては世界の広さに感嘆したものです。しかし、紙の百科事典には大きな欠点があります。それは情報の陳腐化です。特に現代のような変化の激しい時代では、出版された時点で既に古い情報になってしまうリスクがあります。

さらに興味深いのは、歴史的な事実ですら時に変更されることです。例えば、私たちの世代(オイルショックごろの生まれ)は学校で東海道五十三次を描いたのは「安藤広重」と習いましたが、現在では「歌川広重」とされています。このような変更にも、オンラインの情報源ならばすぐに対応できます。

もちろん、ネット上の情報が全て正確というわけではありません。情報の取捨選択する能力も必要になりますが、それでもなお、最新かつ幅広い情報にアクセスできる環境を両親に提供したいと考えています。

機材選択:使いやすさと費用対効果のバランス

タブレットの選択

当初、iPadの導入を考えていましたが、高価であることが障壁となりました。確かに、自分用には購入しているのに、両親には躊躇するのは矛盾しているように感じるかもしれません。しかし、両親と私では、こういった機器を使いこなす能力に大きな差があります。いくらiPadが高機能で高性能だとしても、100%使いこなせる見込みがなければ、宝の持ち腐れになってしまう可能性があります。

そこで注目したのが、Kindle Fire HDです。iPadよりもかなり安価でありながら、機能面ではそれほど見劣りしません。特に、両親のような初心者ユーザーにとっては、必要十分な機能を備えていると判断しました。

Amazon Fireタブレット製品群

ただし、ここで一つ問題が浮上しました。それは、自分自身がKindle Fire HDを所有していないのに、両親に購入してあげることで、自分も欲しくなってしまう可能性です。これは予想外の出費につながる恐れがあり、正直なところ、かなり怖い思いがします。しかし、自分自身ほかに欲しいものを近日中に買うつもりなので、自分用のKindle Fire HDの購入は現実的ではないと自分に言い聞かせています。

なお、Kindle Fire HDの8.9インチモデルは少し大きすぎるかもしれません。電子書籍リーダーとしては、もう少し小さいサイズのほうが扱いやすいかもしれません。両親の使用目的や好みも考慮しつつ、最適なサイズを選択する必要があります。

インターネット回線の検討

タブレットが決まれば、次は回線の選択です。両親が外出先までタブレットを持ち出す可能性は極めて低いと考えられるため、家庭用のブロードバンド回線で十分でしょう。

親の実家には既に固定の電話線が引かれているため、選択肢としては光回線かADSLということになります。光回線は魅力的ですが、一戸建ての場合、月額費用が6,000円前後になってしまいます。私自身、自宅ではADSLの12Mbpsで概ね満足しているため、両親にとっては光回線は過剰スペックになる可能性が高いです。

ADSLなら、価格.comで1,970円からのプランが見つかります。特にYahooBBを選択すれば、通常1,889円のところ、初期5年間は1,327円で利用可能です。さらに、モデムを買い取れば月額500円まで抑えることができます。

実は、我が家もYahooBBを利用しており、サービス内容に特に不満はありません。そのため、両親の家にもYahooBBを導入するのが良いのではないかと考えています。

YahooBB

無線LANルーター

ADSLモデムから無線でつなぐためのルーターも必要になります。検討の結果、I-O DATA製のポケットルーターを候補として挙げています。

このルーターを選んだ理由は、安定性と設定のしやすさです。特に、QRコードを使った簡単設定機能は、技術に不慣れな両親にとって大きな利点になるでしょう。また、コンパクトなサイズも、設置場所の自由度を高めるポイントです。

当初は、さらに安価なPLANEX製のルーターも検討しましたが、ユーザーレビューを見ると、熱くなってリンクが途切れるなどの問題が報告されていました。実際、私自身もPLANEXのUSB用無線LANアダプタを使用した際に同様の問題を経験しています。そのため、多少価格が高くても、安定性を重視してI-O DATA製を選択することにしました。

コスト試算

以上の検討を踏まえ、概算のコストは以下のようになります:

1. Kindle Fire HD 16GB 9.7インチ:約24,800円
2. YahooBB ADSL 12Mbps:月額1,327円(初期5年間)+ 3.15円 + 84円
3. 無線LANルーター:約2,180円

初期費用は約27,000円、月々の維持費は1,500円程度となる見込みです。

課題と今後の展望

機材の選定やコストの試算はできましたが、最大の課題は依然として残っています。それは、両親が本当にインターネットの利用を望んでいるかという点です。

技術の導入以前に、両親のニーズと意向を確認することが不可欠です。押し付けになっては本末転倒ですし、せっかく導入しても使われないのでは意味がありません。

そこで、近日中にiPadを持参して両親を訪問し、実際に使ってもらう機会を設けることにしました。両親の反応を見ながら、インターネット導入の是非を最終的に判断したいと思います。

結論:デジタル世界への慎重な一歩

高齢の親にインターネットを導入することは、単なる技術の問題ではありません。家族とのつながりを強化し、新しい知識の扉を開くポテンシャルがある一方で、使い方の習得や興味の維持など、課題も少なくありません。

慎重に進めつつも、両親の生活をより豊かにする可能性を探ることは価値があると考えています。テクノロジーは単なるツールではなく、世代間のギャップを埋め、家族の絆を強める手段となりうるのです。

両親の意向を尊重しながら、彼らのペースに合わせてデジタル世界への扉を開いていく。それが、私たち子供世代にできる最善のサポートかもしれません。

インターネットの導入は、両親との新しいコミュニケーションの形を生み出す可能性を秘めています。テレビ電話で顔を見ながら会話を楽しんだり、興味のある話題をその場で一緒に調べたりする。そんな新しい交流の形が、家族の絆をさらに深めることにつながるかもしれません。

同時に、インターネットを通じて両親が新しい趣味や興味を見つける可能性も考えられます。オンラインの講座や趣味のコミュニティに参加することで、新たな学びや交流の機会を得られるかもしれません。

もちろん、セキュリティやプライバシーの問題にも十分な注意を払う必要があります。オンラインの詐欺や不適切なコンテンツから両親を守るため、基本的な安全対策やフィルタリングの設定なども考慮に入れなければなりません。

最終的には、両親の生活の質を向上させ、家族全体でテクノロジーの恩恵を享受できるようになることが目標です。それは一朝一夕には実現できないかもしれませんが、小さな一歩から始めることで、やがては大きな変化をもたらすことができるはずです。

この取り組みを通じて、私たち自身も多くのことを学べるでしょう。世代を超えてテクノロジーを共有し、お互いの理解を深めていく。そんなプロセスこそが、真の意味でのデジタルデバイドの解消につながるのではないでしょうか。

この記事は当初書いたものを後年読みやすくリライトしたものです。

タイトルとURLをコピーしました