美容院に行くのはよほど自分にご褒美をあげたい時と決めている。いや決めていた。なぜなら髪を切るだけでお金がかかるから。しかし不思議なもので頭髪がだんだん寂しくなるにつれ、1000円ぽっちの予算でカットするのが逆に我が頭髪に対して申し訳ない気分になってくるから不思議だ。
そこで美容院に行ってみたのだが、いろいろと美容院特有のユニークな現象があるものだ。
今回は男としての目線で見た美容院あるあるを考えてみたい。それとそれってありなのって思ったブラックな話もちょっとリークしてみたい。
Photo:haircut By baboon™
美容院あるある
- お客さんがイスからイスへ移動するとき「お疲れ様でした」と全店員が言う
- 美容院めぐりをしていなくとも業界の慣例なのだということはすぐに察しがつく
- でもなぜ言うのか照れくさくて聞けない
- シャンプー用の椅子の背もたれが成人男性には低すぎる
- 低すぎるので倒したとき首が乗るべきところに肩甲骨が乗ってしまう
- 乗ってしまった肩甲骨を移動させるために”もそもそしながら”体を下げる
- そんな動きを見られるのが恥ずかしい
- イスの上昇下降が電動だと「お!」と思う
- 逆に足踏み式だと「ああ経費節減してるな」と思う
- 足踏みだと毎日大変だろうなと思う
- 顔にガーゼを載せられると必要ないと思いつつもちょっとうれしい
- でもちょっと息苦しい
- このガーゼって使い捨てなのだろうかと一瞬疑問がよぎる
- シャンプー中の店員さんとの会話でつい爆笑してしまうとガーゼが吹っ飛ぶ
- 吹っ飛んでずれたガーゼを自分で直すべきか店員さんに直してもらうのを待つか迷う
- 直してくれないとわかったら必要ないと最初に思いつつも自分で元の位置に戻してしまう
- 痒いところありますかと聞かれるがあってもありませんと言ってしまう
- 本当にないですかと念を押されるとつい耳の上がとか本音を吐いてしまう
- でも実際痒いところって言葉では表現しにくい
- 人に頭を洗ってもらうのってなんて気持ちがいいんだろうと感動する
- でも床屋ではこの感動はない
- 異性に頭を洗ってもらうのって違うのかなって思う
- できれば全身洗ってもらいたいって間違っても思うと洗髪中にテントを張ってしまうので危険
- テントを店の誰かに見られたら二度とその美容院には行けない
- だから洗髪中は気持ちよくても清廉潔白な心でいるよう細心の注意を払う
- 痒いところを聞かれて「背中が」とか「足の裏が」とかいうお決まりのジョークはとても言えない
- 長時間ゴシゴシ頭を洗ってくれて結構大変な仕事なんだなあとさらに思い知る
- カットだけの男性客になんの美容をするのか気になる
- あらゆるところで完璧でも濡れタオルで顔を拭いたとき雑巾くさいとがっかりする
- 店員さんと話が弾むと惚れてしまいそうなので脚が遠のく
美容院それってありなの
さて、美容院という業界は聞くところによるとフルコミッションで働いている人も結構いるのだとか。フルコミッションとは完全歩合制ということだ。つまりお客様に一度もカットなり洗髪なりの施術(?)しないと給料が0ということもあるという。もちろんそこまで完璧に仕事がないというパターンはないようだが、指名による施術とフリーによる施術では技術員のもらえる額が違ったり、自分一人ではお客様をこなしきれなくて洗髪のヘルプとかやってもらうとその分給料から引かれるということがあるらしい。
美容室業界全てがそうだというわけではないだろう。たまたま話をした人がそういうお店で経験したことがあるという話にすぎない。
まあ個人の技術を売り物にしている業界であるので確かにそういうのももっともなことといえなくもない。ただ経営者によっては完全歩合制もさらに進み社会保障費もそれぞれの技術者に全額負担させているお店があるらしい。もし時間拘束しているとしたらアウトだ。出勤時間も自由で本当に場所と器具だけ貸しているという言わばレンタルワークスペースみたいな経営なら社会保障費などの負担も技術者負担ということもあると思うがそうでなければ労基法に触れるのではないか。
また、男性の技術者もそれなりに大勢いる業界ではあるが、なぜか男性技術者は早くから見切りをつけて業界を去る人が多いらしい。確かに年配の女性で美容師というのはいるかもしれないが年配の男性で美容師というのは見たことも聞いたこともない。
男性美容師というとイケメンかイケメンでないかの違いはあれども若者というイメージが定着しているのではないか。早めに見切りをつけて別の業界へ移ってしまうという風習があるのもなんともいえず特徴的である。