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【コラム】大手製造業から下請けの中小製造企業に天下りして上手くいくケースといかないケースの違いについて

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中小企業の製造業というのはほとんど経営が大変だと思います。(ですよね)
なぜ大変かというと、産業の構造からいって旨味のある仕事は社内に取り込み、旨味のない部分は外注に任せるという仕組みが成り立っているからです。それによって大手になるほど利益は確保され、下請けになるほど利益が少ないという流れです。
Photo:Automated Manufacturing Systems Technician (AMST) Open House – April 15, 2015 By Gateway Technical College

さて大手のメーカーにお勤めしていた方が定年退職あるいは早期退職されて、今まで取引のあった協力会社(外注メーカー)に再就職することがあります。公務員の話ではありませんがここでは分かりやすく天下りと呼ばせていただきます。

そんな天下りを否定も肯定もしませんが、うまくいくケースといかないケースがあるのではないかと思い考察してみたいと思いました。

うまくいくケースでもいかないケースでも退職して協力会社に再就職される方というのは有能さを買われているというのは間違いありません。無能な方では退職後に別の会社からお声がかかる可能性は極めて低くなりますから自分でハロワにいって探さなければなりません。

ハロワにいってまったく知らない会社に再就職するのが幸せか、知っている会社から請われて再就職するのが幸せかはまた別の機会に考えたいと思います。

ここでは知っている会社から請われて再就職する天下りについて考えます。

中小企業へ大手からの天下りがうまくいくケースいかないケース

まず条件はその人がある分野のエキスパートであるということです。これは間違いないですね。それが特定分野の研究開発ノウハウなのか、購買のプロなのか、品質管理のプロなのか、また溶接技術のプロなのか、生産技術のプロなのかといろいろありますがとにかく特定の業務に精通している人です。

これが大前提です。

そしてずばりうまくいくケースはその人にある程度の権限を会社として与え尊重するということです。その人は特定の業務のエキスパートなのですからその業務についてはとにかく下の者にどんどん吸収させるため手足のように使える数人の部下を与えることです。

すでに会社を定年退職している人なのですから体力的にはそれほど頑張れないながら頭はまだバリバリという場合が多く、そんな人にガンガン指示してもらえば下の者は業務の遂行ノウハウが短時間で身につくのです。

つまりあくまで動くのは下の者で退職して天下りした人は給料をいくらもらうかはともかく指図のみという環境が作れるかどうかです。ここでダメな中小企業はつまずきます。大抵は反発する輩が現れ「あいつは口ばかりで全然体を動かさない」と陰口をたたきます。

陰口はたたきますが面と向かっては言いません。なぜならその人の専門分野では誰も太刀打ち出来ないし、陰口をたたく本人は自分の言っていることは正当ではないとわかっているからです。

さて、そんな反発する輩がいようといまいと上記のように指図してその通りに動く部下を与えればその天下りした人の役目つまりノウハウの継承は数年で成し遂げられ、惜しまれつつ退職することができるでしょう。

一方うまくいかないケースはその逆を考えてみればわかります。

天下りした人に部下をつけない、権限は与えるが権威は与えないといったところでしょうか。天下りした人そのものに問題があるのではありませんよ。分野は様々ですが協力会社に請われて入るエキスパートです。

しかし再就職先の会社でその人の言うことに耳を貸さなかったり、部下を十分に預けてノウハウを吸収させないなどするとせっかく持っている知見や経験知といったものが広い範囲に及ばないままくすぶってしまいます。

あるいは職種によってもうまくいくケースとうまくいかないケースがあるでしょう。

例えばある分野で高度に抽象化(テンプレート化)されたノウハウを持っている人なら別の会社に天下りしてもテンプレートどおりに業務を遂行する知恵を授けることができるでしょう。例えば品質の管理は問題の発生から再現やら検証やらと手順がありますし、そこから発生するであろう疑問も経験豊富であれば客観的に考えられます。(=危険予知)したがって部下や権威等の条件も加えれば非常に効果的な天下り就職となります。

しかし例えば購買業務ではいくらエキスパートで安く高品質のものを調達するのが上手だった人でも新しい職場では取引先も新しくなるわけで、一から関係を築く必要があります。そうなるとその部下となった人を動かすわけですがすぐに安く良品質のものが入るようになるかというと必ずしもそうはなりません。

ただ結局どんな職種の人でも天下りした先の会社がある程度の大きさ規模であることがうまくいく条件になると思います。

数人あるいは数十人のレベルの会社では「規律」がいいかげんであったり、「購買力(取引先に対する圧力)」が強くなかったりというハンディがあります。そんな会社へいくら特定業務のエキスパートが入ってもまず内部の敵をなんとかしなければならず疲弊してしまうでしょう。

まとめ

うまくいくかうまくいかないかは本人次第という要素ももちろんありますが、その受け入れた会社が賢人を受け入れる度量があるかどうかのほうが大きいということです。

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