旅行は、日常から離れ、新しい経験や発見を求める素晴らしい機会である。特に晴れた日の旅行は、心が躍り、風景も一層美しく感じられるものだ。しかし、天候は我々の計画通りにはいかないものである。旅行当日まで、果たして晴れるのか雨になるのか、誰にも予測できない。
今回の広島市への旅は、まさにその天候の気まぐれさを実感する旅となった。あたかも菜種梅雨のような変わりやすい天気が、3日間の滞在を通じて我々を翻弄したのである。
1日目：希望に満ちた出発
1日目は、幸いにも時折晴れ間が顔を覗かせる天気であった。この好機を逃すまいと、今回の旅の最大の目的地である猫の楽園、似島へ向かうべく急いで広島港へ向かった。港に到着すると、既に島へ向かうフェリーの出発時刻が迫っていた。急ぎ足で乗船手続きを済ませ、わくわくした気持ちで船に乗り込んだ。
似島に到着すると、予想外の光景が広がっていた。空は薄く雲に覆われ、予想以上に肌寒さを感じた。しかし、雨に降られなかったのは不幸中の幸いであった。ただ、期待していたほど猫の姿を見かけることができず、少し残念な気持ちになった。おそらく、肌寒い天候のせいで猫たちも隠れてしまったのかもしれない。
それでも、島の静かな雰囲気や美しい海岸線を眺めながら散策することができ、都会の喧騒を忘れてリラックスする時間を過ごすことができた。フェリーで帰る頃には、雲間から差し込む夕日が海面を美しく染め、1日目の締めくくりにふさわしい風景を楽しむことができたのである。
【関連】
【福井県】猫好きは金沢へ行ったら足伸ばして行くべし/特急で1時間+タクシーで15分猫の極楽浄土御誕生寺で戯れよ
【広島県】広島港から猫の待っている似島へ向けてフェリーに乗って曇り空だけどテンションアゲアゲな話
2日目：雨の中での奮闘
2日目の朝、目覚めると窓の外は灰色の空であった。時計を見ると8時半頃。その頃から雨が降り始め、一日中降り続く予感がした。普段なら気分が上がるはずの真っ赤なローソンの看板も、今日はどこか寂しげに感じられた。
この日の主な予定は、マツダスタジアムの見学であった。雨の中、傘を片手にスタジアムへ向かう。カメラを構えたくなる素晴らしい建築物なのだが、今日は傘が最も大切なアイテムとなった。スタジアム内を巡りながら、晴れた日にここで野球観戦ができたらどんなに素晴らしいだろうかと想像を膨らませた。
見学後、広島カープのレア商品を扱うショップ「Selection」の前を通った。通常なら熱狂的なファンで賑わっているはずの店頭も、雨のせいか閑散としていた。ちなみに、この「Selection」と先ほどの「真っ赤なローソン」は、駅から線路沿いにマツダスタジアムへ向かう道中にある。晴れた日なら、カープファンの聖地巡礼のような気分で歩けたかもしれない。
昼食時になっても、雨は止む気配がなかった。事前に目星をつけていたお店まで歩く気力も失せ、結局駅前をうろうろした末に駅構内のレストランで食事をすることにした。美味しい広島の郷土料理を堪能する予定が、少し残念な結果になってしまったのである。
午後は天候の回復を期待したが、雨脚が強まる一方であった。やむなく、近くのネットカフェに避難することにした。旅の計画を立て直したり、明日の天気予報をチェックしたりしながら、雨宿りを兼ねた時間つぶしをすることになったのである。
3日目：晴れ間の訪れと名残惜しい帰路
最終日となる3日目、朝起きて窓の外を見ると、まだ雲は残っているものの、昨日のような土砂降りではなかった。天気予報を確認すると、午後からは晴れ間も期待できそうであった。
この日は、レンタサイクルを利用して市内を巡る予定だったが、価格を確認してショックを受けた。長時間借りるには少し高額だったので、計画を変更し、定番の観光スポットを手短に巡ることにしたのである。
原爆ドームや平和記念公園を訪れ、広島の歴史と平和への願いを静かに感じる時間を過ごした。曇り空の下でたたずむ原爆ドームは、より一層厳粛な雰囲気を醸し出していた。その後、広島城や縮景園といった歴史的な名所も足早に巡った。時間の制約があったため、各スポットでじっくりと見学することはできなかったが、広島の多様な魅力の一端に触れることができたのである。
帰りのリムジンバスに乗る頃には、信じられないことに空が晴れ渡っていた。車窓から見える広島の街並みは、青空を背景に美しく輝いていた。「もう少し滞在できたら」という後悔の念と、「次はきっと晴れた日に来よう」という前向きな気持ちが入り混じる中、広島との別れを惜しんだのである。
旅の振り返りと教訓
3日間の広島旅行を振り返ると、天候に恵まれなかったことは残念であったが、それでも多くの思い出と学びを得ることができた。雨の日ならではの静かな街の雰囲気や、晴れ間を見つけたときの喜びなど、天候の変化が旅に独特の味わいを加えてくれたようにも感じる。
この経験から、旅行の際には常に天候の変化に対応できる柔軟な計画を立てることの重要性を学んだ。また、たとえ理想的な条件でなくても、その場所や瞬間でしか味わえない体験を大切にする心構えが必要だと実感したのである。
広島は、その歴史的背景と現代的な魅力が融合した、非常に興味深い都市である。平和への強い思いと、活気あふれる街の雰囲気が共存する様子は、短い滞在期間でも十分に感じ取ることができた。次回の訪問では、もっとゆっくりと各スポットを巡り、地元の人々との交流も深めたいと思う。
最後に、旅行者への助言を述べる。広島を訪れる際は、天候に左右されにくい室内施設や、雨の日でも楽しめるスポットもいくつか計画に入れておくと良いだろう。また、広島の郷土料理や地元の名物を楽しむことも、旅の大きな魅力の一つである。天候に関わらず、お好み焼きや牡蠣料理などを堪能することをお勧めする。
旅は、時に予想外の出来事や困難に直面することもあるが、それらを含めて全てが貴重な経験となるのである。広島への旅が、多くの人にとって心に残る素晴らしい思い出となることを願う。
この他にも広島に関する記事書いてます。
